かつては、子育て支援は血縁関係や地縁関係のもとで行われてきたが、都市化や核家族化等にともない、血縁や地域連帯による支援システムは弱体化し、子育て家庭の負担、とりわけ母親の負担が重くなってきた。また、女性就労の一般化や育児の世代間伝承の欠如等により、親の養育知識・技術の習得も容易ではなくなってきてる状況のなかで、子育て不安や負担の増大、子育て家庭の孤立化などの問題が発生している。このため従来の血縁・地縁型の支援システムに代わる社会的支援システムの構築が求められているのである。 地域における子育て支援活動は、相談援助等による個別的援助活動、子ども会育成会や母親クラブ等の地域組織活動、子育てサーク ルや子育てグループなどの子育て支援活動に大きく分類できる。ま た、具体的な地域子育て支援施策としては、児童環境づくり基盤整 備事業、子育て短期支援事業、育児等健康支援事業、地域子育て支 援センター事業、児童家庭支援センター事業、児童虐待防止市町村 ネットワーク事業、つどいの広場事業、育児支援家庭訪問事業など、 さまざまな分野にわたる多様な事業が実施されている。なお、これ らの事業についてはそれぞれの施策分野における解説に委ねること とする。 このような現状のなかで、保育所の担うべき役割を考えていく必 要がある。保育所は、地域に身近な児童福祉施設であり、日常の保 育を通じて子育て支援に関するノウハウと経験を蓄積しているとと もに、就学前の子ども集団による生活と遊びの場を有している。こ れらの機能と場を活用して保育所を利用している家庭だけではな く、地域の子育て家庭に対しても必要なサービスを擬供することが 求められている。平成15(2003)年4月の時点で、保育所を利用して いる児童の割合は、就学前児童総数の27.2%であり、とりわけ0〜 2歳の低年齢児童に限ってみれば、該当年齢児童総数の17.0%であ る。 これらの実態からすれば、保育所を利用していない多くの児童及 びその保護者に対しても、保育所が有するノウハウや子ども集団、 園庭などを有効に活用して積極的に子育て支援に取り組む必要があ るといえる。 現在、保育所において実施している地域における子育て支援事業 としては、地域子育て支援センター事業、一時保育、地域活動事業 などがあげられる。これらの事業は、保育所が地域に開かれた児童 福祉施設としてその機能や場を用いて行う地域活動であり、それら の活動の成果は保育所自身にとっても、地域の子育て環境の実態を 知るうえで、また、保育内容の活性化を図るうえでも効果をもたら すものといえる。これらの活動について地域における子育て支援の 視点から取りまとめることとする。